SDTrans384のマルチ電源化と、ケースイン

SDTrans384の写真  左の写真がSDTrans384です。WaveファイルやDSDファイルを再生できるSDカード・トランスポートです。(SDTrans384については開発者のHPをご覧ください。)
 今までこの基板の状態で使用していましたが、ケースに入れることにしました。また、ついでにマルチ電源化に改造して高音質化を狙います。

 

(1)ケースイン
SDTrans384の写真

SDTrans384の写真

 ケースはタカチ製作所のOSシリーズです。大きさは430(W)x320(D)x70mm(H)で、所謂コンポサイズです。フロントパネルの厚さはは3mmあります。
 市販のケースを使用したときの最大の問題点は加工です。表示器周りの四角い穴や、SDカードの挿入口の細長い穴は、素人では綺麗に開けるのはまず不可能です。 折角ですので、今回はフロントパネルの加工のみ、CADで図面を書いて業者に頼みました。さすがに綺麗に仕上がってきました。
 リアパネルは手加工です。部品は外から取り付けていますので、少々加工が粗くても分かりません。ただ、ACソケットの四角い穴開けには苦労しました。


 ここで失敗の一つ。フロントパネルの印字を転写シートでしたこと。ご覧のように地の透明シートが見えてしまい、折角加工が綺麗にできているのに台無しになりました。 文字だけ転写できるシートがあればいいのですが、ここはケチらずに業者に印刷か、彫刻を依頼すればよかったようです。

SDTrans384の写真 SDTrans384の写真

 電源ONになるとスイッチの周囲が白く点灯します。液晶表示器の部分はスモーク色のアクリル板があり、表示器本体は前面に出でいません。このアクリル板の加工も業者に依頼しました。 これもピッタリと収まりました。ただ、実際表示器が点灯すると、バックライトの光漏れが結構あり、目隠しのため、黒色シートをアクリル板の裏に貼っています。 表示器の横にリモコン受光部があります。
 SD CARDの挿入口の上はSDカード関係のインジケータです。SDカードへのアクセスがあると青色LED(ACS)が点灯します。SDカードがないと橙色LED(EMP)が点灯します。

 ここでもう一つの失敗。フロントパネルの厚さが3mmもあるので、SDカードを押し込んだとき、カードの頭がパネルと面一になってしまい、カードの取り出しがやりづらくなってしまいました。 SDカードソケットの挿入口を、もう少しフロント側に来るように、パネルの裏を1mmほど削ってもらえばよかったようです。

 

(2)超ローノイズ電源によるマルチ電源化
内部写真

 マルチ電源化するには、1.2V、2.5V、3.3Vx3、5Vの6回路必要です。オリジナルでは5V単一で動作しますが、5Vを除いて、他の5回路はショートピンを取り外せば分岐できるようになっています。 ショートピンはハンダ付けされていますので、パターンを破損しないよう慎重に取り外します。多層基板なのでパターンを破損すると修復が難しくなります。 ショートピンを取り外した後はコネクタを取り付けました。
 6回路の電源は2次側2巻きのトロイダルトランスを3個使用して各回路専用としました。

レギュレータ基板_1の写真 レギュレータ基板_2の写真

 上の写真が超ローノイズ・レギュレータ回路の基板です。TSP4700で一端5Vに降圧し、更にLT3042x2個で各々の電圧にします。 TSP4700はディップスイッチでいろいろな電圧に変更できます。LT3042はパラ接続することで、理論的にはノイズを1/√2低減させています。5V電源はTSP4700だけですが、 この電源は液晶表示器に供給する電源ですので、それほど神経質になることはありません。また、基板には銅製の放熱器を付けていますが、 電流はそれほど流れませんので、ただ見栄えをよくするために付けました。(レギュレータICは基板の裏側)
 整流回路には音質が良いとの評判の、シリコンカーバイトショットキーバリアダイオード(Sic SBD)を4個使用し、ブリッジ整流をしています。(5Vレギュレターを除く)
 説明書に「6回路の電源は同時にONになるように」、と書かれています。そのため、レギュレータICのコントロール端子を制御して、同時にONになるようにしました。 また、電源スイッチを入れると、整流後が十分立ち上がる1秒後にONなるよう、ディレーをマイコンで生成しています。

 

(3)マイコン基板と、AC/DC制御基板
マイコン基板の写真 AC_DC基板の写真

 左の写真の小さな基板はマイコン基板です。市販のCPUモジュール基板でAtmega328Pが搭載されています。マイコンではリモコン処理と電源ON/OFF制御、またAC電源ON時の1秒ディレーを生成しています。
 電源スイッチはモーメンタリー動作(押したときのみON)ですので、マイコンは押されたときを検出し、1次側AC電源と各DC電源を制御します。
 右の写真はバックアップ電源とAC、DC電源の制御基板です。1次側の電源スイッチもリモコンで制御するので、マイコン基板は常時通電する必要があります。 黒い部品がAC-DC スイッチング電源(AC100V→DC5V)でマイコンに電源供給しています。
 1次側AC電源のON/OFFはサイリスタで切換えています。また、各DC電源の制御用リレーはこの基板上のフォトカプラで行っています。

 

(4)コモンモードフィルタと、リモコン
マイコン基板_1の写真 AC_DC基板_2の写真

 コモンモードフィルタはアモルメットコアに銀メッキ線を巻いて作りました。 アモルメットコアに通すと、S/N比が向上し、高域がすっきりするとの評判です。
 ACソケットはフルテック製を使用しています。金メッキのオーディオ用はこれしかないようです。
 リモコンユニットは秋月から購入しました。電源スイッチを含め、フロントパネルのスイッチは全て動作します。

 

(5)ブロックダイア
 下図が全体図です。青色がACライン、赤色がDCライン、緑色が制御ラインです。

AC_DC基板_2の写真